2011年7月31日日曜日

丸の内倶楽部=房総半島のほぼ中央に位置。“好スコアが出やすい”と評判の丘陵コース

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(景観の美しい18番ロングホール。大きな池がポイント)
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(バンカーがプレッシャーを掛ける)

 名前に目が留まった。「ゴルフ」とか「カントリー」といったキーワードがない。財界御用達の倶楽部かと思うような名前である。クラブハウスに到着 後、受付スタッフさんに由来を聞いてみた。「周辺の地名が力丸と千代丸なので丸の内。それだけです」。確かにスコアカードの住所欄には「千葉県長生郡長柄 町力丸354」とある。実態は乗用カート利用のセルフプレー主体で、気軽に楽しめるフレンドリーなゴルフ場だった。
 
 ここでプレーしてみようと思ったのは、名前に惹かれたからだけではない。ゴルフ仲間から「好スコアが出やすいコース」と聞いていたからだ。
 最近、どこでプレーしてもスコアが悪く、自信喪失気味。「そろそろ好スコアを出して、少しでも年間平均スコアを改善しておかなければ」との思いもあった。
 朝7時15分、東京駅からJR外房線の特急「わかしお1号(安房鴨川行)」に乗車して茂原駅で下車。自由席利用でも運賃が2,180円掛かるのは痛いが、乗車時間は56分と1時間を切る。
 だが、クラブバスがない。タクシーで約20分、料金は2,690円だった。
 京葉道路などを通り蘇我IC経由で来場したクルマ組によると、都心からの所要時間は約1時間半。比較的便利で、駐車場にはクルマがいっぱい並ぶ。そもそも電車での来場者は少ないのかもしれない。
 それでもタクシー代を考えると、「予約制」でもいいからクラブバスは欲しいと思った。

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(手前がラウンジ、正面が玄関、左側が受付)
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(プロショップの一角にはパターマットも用意されていた)
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(夏を代表する花木「さるすべり」も雨に濡れていた)

 仲間同士、好スコアを出そうと誓い合っていたのに、残念ながらこの日は雨。それも大雨。「キャンセル料なし」ということで、そそくさと帰る地元ゴルファーの姿も見受けられた。
 スタート時間を遅らせて待つこと1時間。「待っていても、今日は止まない」と諦め、INコースの10番ホールへと乗用カートで向かう。

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(10番ミドルホール。右サイドのOBゾーンが気になる)
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(突然の豪雨。コースから人影が消えた)

 雨中のラウンドとなったため写真が暗く、写りも悪いが、本来はもっと見晴らしの良い、ゆったりした感じの丘陵コースである。
 楽天がゴルフコースの様子をネット上で公開している「フォトギャラリー」の中に、この丸の内倶楽部もあるので、レイアウトや景観はこちらを参考にしてもらいたい。
 その代わり、このリポートではゴルフ場全体の雰囲気が伝わるよう、コース以外の写真も数多く紹介する。
 まずはコースだ。結論から言うと、「景観が素晴らしい」と印象に残ったのは18番のロングホールくらい。ここは正面にクラブハウスを見据え、左サイドの池を眺めながら、美しい景観を堪能できる。
 ゴルフ場で頂いたパンフレットのメイン写真も、池と18番グリーン、そしてクラブハウスを3点セットで撮影したもので、ここが景観的に一番の売り物であることは間違いない。
 逆に言うと、他のホールは「美しさ」という面では今ひとつだった。周囲の山々の緑は豊か。池もコース内に大小5つほどあるが、強いインパクトは感じなかった。
 レイアウトやハザード、グリーン周辺の難度等で刺激的だったのは7番、12番、16番など。
 7番は直線的なホールが多い中で、珍しく右ドッグレッグしたロングホール。最短距離を狙ってティショットすると、右側の谷やバンカーに捕まりやすい。勇気と慎重さが求められる。

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(谷越えの12番ミドルホール)

 12番は谷越えのミドルホール。右側に2本の大きな木があり、それを避けてティショットを左サイドに打ち過ぎると、今度は第2打でグリーンが狙えなくなるという寸法。

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(最も印象に残った16番ミドルホール。正面がティインググランド。グリーンは左奥上)

 16番ミドルホールは距離こそ327ヤード(レギュラーティ)と短いものの、グリーンが右サイドの山の中腹に設けられているため、第2打が大きな打ち上げになる。
 しかも、その山の手前には池。距離感、方向性、弾道の高さがピタリ決まらなければパーオンできない難しいホールだ。今回のコースの中では最も強く記憶に残った。

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(中盤、こんな感じのコースが続いた)

 こうした個性的なホールがある一方、似たように雰囲気で、ホールごとの変化が乏しいと感じる場面もあった。

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(グリーン奥のバンカーに特徴がある4番ミドルホール)

 特にOUTコースの2番から6番までは、グリーン奥のバンカーが記憶に残った4番ホール以外、プレー終了後になかなか景観が思い出せなかった。
 このコースの一番の魅力は、景観の美しさや高度な戦略性にあるのではなく、先のゴルフ仲間が話していたように「好スコアが出やすい」点にあるのだろう。

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(フェアウエーは平坦。前4ティがかなり前に置かれていた)
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(しかも、比較的広い。これも好スコアが出やすい理由か)
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(大きなフェアウエーバンカーが単調になりがちなコースに変化をつけている)

 確かにプレーしてみると、花道の広いホールが少なくない。フェアウエーも周囲の山を均して造成したようで、ほとんどが平坦。ティインググランドからピンが見えるホールも多く、初めてでも安心感がある。
 総距離はレギュラーティからなら6,212ヤード。バックティ(6,713ヤード)からと比べると500ヤード以上も短い。
 キャディマスター室の男性スタッフさんにコースレートを尋ねた。「バックティから71.4、レギュラーティから68.8です」。
 「68.8?」。もう少し易しく感じていたので、ちょっと驚いたくらいだった。「自己ベストが出やすい」というのも、うなずける気がする。
 昼食時、クラブハウスの壁に、開場15周年企画として「ベストスコアが出たら、記念にスコアカードをラミネートしてお渡しします」といった趣旨の案内が掲示されているのを発見した。
 本当に「好スコアが出やすいコース」なのだろう。
 ちなみに、腕に自信のある人はバックティからのプレーも可能。「スタート前にキャディマスター室に申請していただければ大丈夫です」と同じ男性スタッフさん。

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(練習場近くの売店とトイレ。無人)
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(自販機にトイレを併設した“売店”)

 コース内には売店・トイレが数ホールおきにあった。練習場近くと4番ホールそばの売店は、自販機を並べた比較的簡単な造り。
 6番と12番のティインググランド近くの売店は無人だが、以前、女性スタッフさんが働いていたことを伺わせる本格的な建物だった。

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(スタッフさんが居なくなった売店。内部は以前のまま)

 12番脇の売店では30分近く雨宿りをした。今にもカウンター越しにスタッフさんがニコニコして現れてきそうな雰囲気。厳しい経費節減のあおりとはいえ、無人の売店は寂寥感が漂う。

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(立派な外観の売店もあった)

 設置場所は全てスコアカードにイラストで明記されているのでとても便利。カードには雷の避難小屋(計6ヶ所)も一緒に掲載されていた。

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(大雨でバンカーにも水がたくさん溜まってしまった)

 大雨でバンカー内に水溜りが出来るなど、コースコンディションは最悪だった。だが、同伴した上級者は「このコースは過去に何度かラウンドしている。以前はベアグランドなどが気になったが最近は改善され、メンテナンスも比較的良好」と話す。
 確かに芝だけでなく、低木の手入れなども行き届いており、全体に綺麗に良くまとまったコースという印象だ。

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(最新型の乗用カートが並ぶクラブハウス)

 乗用カートはヤマハ製の新型5人乗り。好天ならコース内に乗り入れできるルールになっているが、この日はさすがに不可。
 「コース内を走れれば、爽やかなアメリカンスタイルのプレーが楽しめる」(男性スタッフさん)そうなので、次回はぜひ、快晴の下で快感を味わってみたい。

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(乗用カートに搭載されていた「ガイドブック」)

 乗用カートには、各ホールごとのレイアウト図、攻め方、注意点が記された「ガイドブック」が搭載されていた。

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(赤い旗はピンが手前に切ってあることを示す)

 グリーン上のピン位置は、旗の色で、手前(赤)、中央(白)、奥(黄)が分かる仕組み。けっこう大雑把だが、アベレージゴルファー同士、特に不満を漏らす人はいなかった。
 グリーンはベンクロスベントの1グリーン。平均650㎡あり、どこも大きい。日本の歴史ある名門コースには「砲台型で小さな2グリーン」が多いが、そうした所とは好対照だ。
 それだけに、ここで好スコアを出すには3パットをいかに減らすかがカギになる。
 キャディマスター室にいた男性スタッフさんによれば「グリーンの速さは公式には計測していないが、8.0か8.5フィートで、そんなに速くしていません」とのこと。多少軟らかいのか、ピッチマークは目に付いた。

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(植えて間もない細い木も目に付いた)

 開場は1996年(平成8年)7月で、すでに15年が経過している。しかし、まだ幹の細い木もあり、風格が出るまでには至っていない。周辺の山々が自然の豊かさを補い、ラウンド中、猿の姿を真近で目撃した。

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(とにかく緑は豊かだ)
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(ネットのトンネル)
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(乗用カートはここでUターン)
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(防球ネットも所々にあった)

 コース内には2ヶ所、乗用カートがUターンする場所があった。防球ネットも所々に設置されており、開設時、コースレイアウトに相当の工夫が必要だったことを伺わせる。
 コースから離れ、クラブハウスにテーマを移したい。外観は写真で見るように現代的なデザインで、屋根の上の四角い飾り(?)が印象的。
 周囲の景観にも溶け込んだ上質なデザインだが、中に足を踏み入れると、雰囲気はぐっとカジュアルになる。スタッフも「お疲れ様です」と気さくに挨拶。フレンドリーな対応が嬉しい。
 右側に受付、正面にシンプルなデザインの椅子とテーブルを並べたラウンジ。左側には広めのプロショップ。一部の商品は店内からはみ出し、ラウンジや受付周辺にまで進出している。
 PGMグループに所属するパブリックゴルフ場だけに、他のコースと同様、ゴルフ関連商品の販売には極めて熱心だ。
 PGMホールディングスの2011年上期連結決算は、最終損益が20億円の赤字。東日本大震災の影響で入場者数が減少したためで、こうした物販には特に力が入っているのだろう。
 予約時に依頼すれば「キャディ付きプレー」も可能(別途料金3,680円必要)だが、大半の客はセルフプレー。そこで携帯用の「GPSゴルフナビ (Walk along)」を1台525円でレンタル中。最近、中高年の間で人気の中尺パターも1本630円で貸し出している。

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(2階のレストラン)

 2階のレストランに入ると、窓際に千葉県成東町特産の地酒「梅一輪」が樽ごとドーンと陳列されていた。PRにも熱心だ。
 話の順序が違うが、夕方には女性スタッフさんがロビー中央に“出店”し、スイカやナス、キュウリ等の「朝採れ野菜」を販売していた。
 とにかく来場者にはいろいろな形でサービスし、少しでも客単価を上げたいという営業姿勢がはっきり読み取れる。
 別に悪いことではない。豪華な内装や雰囲気を重視し、格調の高さで訴えるゴルフ場も良し。物販やサービスで客に尽くすゴルフ場も良し。それぞれの判断だ。
 レストランからの外の眺めは綺麗だった。目の前に大きな池があり、やや左手には18番ホールの美しいグリーン。雨天でなければ見栄えの良い写真が撮れたはずだが、残念。
 ホームページ(HP)に掲載されている写真で、その計算し尽くされた造形美を確認して頂きたい。
 昼食のメニューは約10種類。ビール(生中)は740円と割高。「ハイボール」の販売に力を入れており、こちらは550円。
 料金はやや高めだが、そう目くじらを立てるほどでもない。「モーニングコーヒー 320円→200円」の嬉しい貼り紙も見つけた。
 全体に綺麗で、初心者にも優しいゴルフ場という印象だが、明らかにもの足りないと感じる場所もあった。練習場である。

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(クラブハウスに隣接する駐車場。練習場はその奥)
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(「鳥かご」練習場。変則的な形をしていた)

 駐車場奥にある「鳥かご」練習場で、打席数はわずか6つ。距離は10ヤード程しかない。ボールは30球で260円。8割方が使い古したものだった
 朝、練習場に向かう途中、同伴者が引き上げてきた。「早いですね」と声を掛けたら「いやぁ、混んでいてね。狭いし、止めちゃったよ。コインをキャディマスター室に返そうと思っているんだ」という。
 雨も本降りになってきたので、自分達も短時間の肩慣らしをしただけでクラブハウスに引き返した。アプローチやバンカーの専用練習場もない。

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(景観の良いパター練習場。1つは「CLOSED」だった)

 パター練習場は2面。うち1面は「closed」。ともに広さは十分にあり、この日使用していた奥の練習場は2段グリーンになっていた。

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(木製のロッカーは高級感があった)

 クラブハウス内部の方が設備は充実していた。ロッカールームは背の高い木製で、高級感もある。間隔がやや狭い嫌いはあるものの、音楽が流れ、外からの光も入って明るい。

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(ロッカールームと脱衣場の間にある休息コーナー)

 ロッカールームの先にある脱衣場は、ちょうど午後のラッシュ時だったこともあり、狭い印象を受けた。通路の途中には中庭のような休憩所がある。
 浴室はオーソドックスな設計。窓の外に白い小石を敷き詰めた日本庭園風のスペースがある。洗い場はパーティションが設けられ利用しやすかった。
 狭いながらも宅配便専用のコーナーがあり、自動精算機も2台並んでいた。トイレは1階に2ヶ所あり、個室の数は5つと2つ。木調で統一され、快適だった。
 大切な料金。最後になってしまったのには訳がある。「アーリーバード」「7時台、10時台スタート限定」「月曜(火曜)サンクスデー」など様々な形での割引プランが多く、肝心の基本料金がはっきり分からないのだ。
 私たちが7月後半にプレーした時も「昼食付」のプランだったので、純粋な「プレー代」をいくらと認識すれば良いのか不明だった。
 後日、ゴルフ場に直接、電話で尋ねてみた。「ハイシーズンとOFFシーズンの基本料金は、それぞれいくらですか」
 「セルフプレー(4バッグ)の場合、例えば10月は平日が9,500円、土曜日が18,800円、日曜日が17,800円。夏季料金の8月は平日が7,800円、土・日曜日が14,800円。いずれも昼食代は別です」という。
 比較してみると、休日と平日との料金格差が大きいことが分かる。平日の来場者を増やすには思い切って値下げせざるを得ないということなのだろう。
 ちなみに割引プランには「昼食付」のものが多く、「昼食代はだいたい1,500円程度」だそうだ。
 今回は悪天候も響いて好スコアを出せなかった。残念ながら「自己ベスト更新」の夢は次回への持ち越しとなった。

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